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zoom RSS SS 摂政の止まった日

<<   作成日時 : 2007/04/09 22:11   >>

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・・・大吏族チェック前後のビギナーズ王国での物語り
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ビギナーズ王国の執務室の内ひとつで、だらーっとのびた人影一つ。
書類がその上に山になっているが、服装から判断するに摂政SOUである。
書類が落ちてきたからのびているのではない。
のびていたところに書類が落ちてきたのだ。
より悪いじゃねぇかというツッコミは野暮と言うものである。
そんな天の声を聞いたのか、山が崩れる。SOUが起きた。

「うわははははー!ねこみみーうさみみーいぬみみー………おやすみー」

言い切ると、SOUはその場で倒れた。
それが、SOUの最後の言葉であったと言う。






―――ビギナーズ王国 摂政が止まった日―――





ぽーん

病院やレストランでよく聞こえる気の抜けたチャイムが食堂に響いた。
あん?と蕎麦をすすっていたピストン(メードガイ)がスピーカーを見る。
別に向かなくても聞こえるが、条件反射と言うやつである。

「宰相府より通達です。代表の方は会議室にお集まりください」  

あー、こんな時期になんだよ、あれか?吏族か?と残りの汁をすする。
メードガイとしては失格ものだが、まぁ急いでるのだから仕方ない。
おばちゃんにごちそーさんと食器を戻してエレベーターに飛び乗った。
人数は自分を含めて6人。
yuzuki、tacty、西條、星青玉、タルク、そしてピストンである。

「あれ?これで全部なんですか?」

最後に乗ったピストンがもらす。
唯一の純製バトルメード兼癒し系アイドレスのyuzukiがえーと、と言いながら端末を見る。
スゲー癒されるがこう見えても所持根源力は超高い。
なので男性諸君は気をつけろ。

「はい。amurさん、ニーズホッグさん、Wyrdさんの三人は吏族として出仕中。
 S×Hさんは参謀本部に出張中で、蒼燐2さんと森薊さんも里帰り中です」
「じゃあ首脳陣あわせて9人かー。ま、そんだけいりゃ何があっても大丈夫ですね」
「まぁた戦争じゃないといいなー」

タルクの意見に皆してそうだねー、と賛同する。
ポン、と軽い音。会議室のある階に到着した。
足音の立たない絨毯の上を歩きながら西條が軽く伸びる。

「さて、また漫才しながら会議ですねー」
「ははっ、今回こそはSOUさん病院かな」

星青玉がハリセンと言う名の殺人兵器に襲われるSOUを想像して答える。
あれで流血しないのは凄いものだとは代表団全員の意見である。

余談ではあるが、この時点でハリセンは既にその既成の姿を留めてはいない。
言うなれば巨大な扇。
平時は扇型にすることで遠距離への投擲を容易にしたのだ。
そう、遂にハリセンは近距離兵器と言う括りを越えたのであった。
しっかりとハリセンモードに移行する機能を備えており、有事においてはいつもと変わらぬその姿を見せる。
さらに高周波振動装置も小型の新型を装備。より自然な柄を実現した。
そのため大きさは紙製のものの2倍程度に抑えられ、重量も2キロと軽量化に成功。
斬艦ハリセンは、一つの進化を遂げたと言える。
現在、平時に扇として使用できるように改良中である。
以上、余談終わり。


上の余談を実演を交えて説明していたのを思い出しつつ、でも、とtactyが言う。

「SOUさんだし、大丈夫でしょう」
「だね、SOUさんだし」

SOUさんだし、という一言で殺人未遂も片付くところがこの国のいいところである。
………悪いところとも言えるが。
そんな会話をしている内に会議室である。
もう惨状が広がっているのでそうっと扉を開ける一同。

「あれ?」

ぱたっとyuzukiの耳が折れる。
おかしい。
いつもはすでに一仕事終えたSW−Mが皆早いねーと足元とは無関係な爽やかさで出迎えるのだ。
しかし、今はその足元の屍も、それを作り上げる人間も、その後ろであははーSOUさん死ぬなーと言う藩王もいない。
円卓だけの静かな会議室。
水だけが用意されたそれは、あまりにも異質だった。
扉の前で円になる6人。

「おかしい、おかしすぎる。SOUさんが屍になってない!」
「いや、タルクさん、おかしいのはそこじゃなくて」
「西條さんの言うとおりだ。ハリセンが壁に刺さってないぞ」
「ピストンさんもそこじゃなくて」
「そうですよ、藩王の乾いた笑みが響いてないじゃないですか」
「………SWさんが問答無用でハリセン使う理由がわかった気がする」

星青玉が言った時点で西條は頭を抱えた。
今回は私がしっかりしなければと廊下に消火器のように備え付けてあるハリセンを手に取る。
次のボケにはこれで答えようと心に決めて。
あー、とtactyが手を上げる。

「とりあえず、中入りません?」

そういやそうだ。

皆の頭の中にはその一文のみ出てきた。反対するものはいなかった。



中に入ってもやはり誰もいなかった。誰かがいた痕跡すらない。
おっかしいなーと言いながらそれぞれの名札の着いた席に座る。
人はいないが、資料は置いてある。
うーん、と首を捻りつつも全員が資料に手を伸ばす。
そこに書かれていたのは、吏族の仕事への協力。
曰く、

『吏族大変すぎるから、指定された通りの書式で財務表書き直してね。お・ね・が・い(はぁと)

 P.S 根源種族が来る前のもね』

大分脚色した要約だが、まぁこんな内容である。
4枚にもならない資料だが、それを読んでいる各人の表情はそれはもう、書くことすらはばかられた。
最終的には顔で『なんじゃこりゃぁぁ!』を表現していた。
なんせ期限が今日の18時まで。その時間に吏族がくるというのだ。
部屋に響く唸り声。
こいつぁちょっとやっかいだなぁとピストンが頭をかく。
水を手に取りながら、気分転換にとテレビをつける。

「摂政が倒れました」

吹いた。
いや、吹きそうになって鼻に逆流→悶絶のコンボである。
うぐぉぉ、と悶えながら何やってんだあの人はと確認のために端末を取り出す。
画面を出した瞬間同じ文面が見えた。泣きたくなった。
が、大人なので我慢。
全員が似たような状況になっているのを横目に見つつ、もう一度テレビを確認する。
ついているのは摂政直営放送。
アナウンサーが病院の前から中継している。

「かねてよりの激務で、寝ながら仕事をするという絶技を駆使していたSOUですが、
 ついに疲労タメージが溜まり行動不能となったようです」
「Aマホかよ」

何やってんだあの人はと思いながらピストンが漏らす。
だが、実際にSOUはネタになるくらい働きすぎであり、ネタになりそうな今回の事件もいつか起きるといわれていた。
それだけに、倒れたという事実に納得することはできた。
しょうがねーなー、まぁまだ二人いるから大丈夫か、と思いつつ何人かが水を飲む。

「えー、執政のSW−Mもこちらにいるとの情報が入りました」

噴出再び。
同時にゴゴゴンと音がする。水を飲まなかったものは机とキスである。
おでこをすこし赤くしながらタルクが顔を上げる。

「な、何やってんだあの人は」
「執政はバイトのし過ぎで死にそうとのことです」

再激突。
そんなに給料悪かったっけ、この国。
少し赤さを増したおでこをさすりながらタルクが思う。
だが、二人なら、まだ藩王は残っている。
どうにかなるだろう。

「なお、たくま伯爵は失恋で倒れました」
『何やってんだうちの首脳陣は!』

6人の声が見事にハモッた。
言った後で額に手を当てて軽く首を振り、『ダメだこりゃ』とジェスチャー。
ピストンが2回も噴出したせいで飲んでなかった水をようやく飲んで、言う。

「勘弁してくださいよ。さぼれないじゃないですかぁ。」
「なんて言い草ですか。メイドたるもの常にエレガントに……」

メードガイ先輩のタルクがそれをたしなめる。
内容より口遣いにツッコミ入るのはまぁ、メードの習性みたいなものである。
それを見てかまだ頭が痛いのか、頭を抑えている星青玉がポツリと漏らす。

「ブルータスお前もか………………って、こんな気分だったんでしょうねぇ」
「退院したら王城の一番上から逆さづりにしましょうか?」

西條がちょっと恐い答えを返す。
うーん、と全員で本気で検討をはじめる。こえーなー、オイ。
まぁ、ぶっ倒れてるし止めてやろうという結論になったようだ。……助かった。

「で、実際どうしますかねー」

yuzukiが耳をぴこぴこ動かしながらうーんと唸る。
余談だが、メードガイがこの技を使った場合その場で滅殺される。
男性諸君、重ねて言うが注意だ。
あっと西條が何かに気付き手を挙げる。

「執務してくれたらワイロ(現物支給)あげちゃいますよーって言ったら、藩王復活しませんかね?」
「……小夜たんのブロマイドでも送っとけ」

星青玉が効くかもしれないなぁと思いながら賛同する。
が、ピストンが携帯を手にいやいや、と手を振る。

「もう送ったけど、小夜たんも俺を捨てるんだー!ってメールが返ってきました」
「……………………バカばっか」

頭を抱える星青玉。
こうなったらここにいる6人でやるしかない。
要求されてる仕事は財務表の書き換え。
やっかいなのは時間だけ。
今は13時前、残りは5時間ちょっと。

「とりあえず、嘆くのは後です。話は資料室に移ってからにしましょう。
 やることは多く、時間は無いんですから」

tactyの言葉に、全員が頷いた。



そして3時間後。

「………け、計算が合わん」

tactyが紙をばさっと落とす。
同じくyuzukiと西條もうんうん唸っている。
作業は既存の分の書き直しに3人、今までの財務のチェックに3人と分かれてすることになった。
で、こちらはチェック班である。
何度も前からの分を見直してどこで何が消費されたかを確認。
確認してチェックして計算して合わねー!
どこだ、どこが合わないんだと資料を掘り出すのを延々繰り返しである。

「うー、藩王かSWさんかSOUさんか、1人でもいればなぁ」
「yuzukiさん、それは言っちゃあいけないお約束ですよー」
「でもー、せめて首脳陣しか持ってない端末置いてってくれればいいのにー」
「というか倒れなきゃ良いのに」
『ねー』

yuzukiと西條が交互に愚痴をこぼす。
言いながらも手は止まらない。と言うか止まったら間に合わない。
端末に値を入力していき、ビープ音。ハズレ。
キー!と唸って紙が舞う。あ、あと1時間半。

「まぁ、地道にやってくしかないでしょう。また根源種族来る前からいきましょう」

そう言ったtactyもげっそりと疲れた顔だった。



その頃書き直し班。

「うーん、計算が合わない」

ピストンが唸る。
冒険やら戦争やらの大きなイベントのたびにどれをどれだけ使ったか、というのを明らかにするための書き直し。
だからこちらも最終的には計算勝負となる。
宰相府から出された財務の目安『ターン』ごとの計算を今までのデータと矛盾がないように計算計算である。
で、こちらもそれが合わないと唸っている。

「やっぱり首脳陣におしおきするべきじゃねーすかねー」
「ピストンさんもそう思いますよねー」
「おー、星青玉さん、気が合うー!」

いえー、と端末で計算しながらハイタッチ。
あ、紙山が崩れた。

「そこっ!倒すならチェックが完璧に終わってから!」

メードガイタルクがその一部を受け止めながら注意する。
そう言うタルク自身も大分疲れている様子が見える。
時間制限付きでと言うのが一番こたえているようだ。
事実後1時間しかない。

「そっちはどうですか〜……」

地獄の底から響きそうな声が山の向こう側から聞こえる。
tactyである。
ピストンがダメだこりゃとジェスチャー。

「第1ターン終わりがもうダメダメ」
「やっぱりー」
「あ、そっちも?」

1ターン終わり、そこで起きた原因不明……とされている大爆発。
それに資料室も巻き込まれたため、一斉整理が行われたが、
まぁ、その後もドタバタバタバタしてただけにチェックが甘くなるわけで、
半分燃えたままの資料とかがちらほらあったりするのだ。
なので上手く合わないという事態がどちらでも起きている。
くそう、元執政(死亡)めー、というのが今現在全員が共通している思考である。

「あー、こういう時に首脳陣が1人でも居たら、原本見れるのに……」

ふとtactyがもらす。
この国では全ての資料の原本を首脳陣だけが入れる秘密のはなz……ゲフンゲフン!宝物庫に置いてあるのだ。
そこに入れば全てが解決する。しかし入れない。
だから今こんなに苦労しているのだ。
資料の山をばさばさと片しながらため息を吐く西條。

「事前に直しておけばよかったんだけどなー」
「まさか肝心なところだけが焼けてるなんて、予想できませんからねー」

星青玉がうむぅ、と唸りながら答える。
そうこうしている間に残りは30分を切った。
アラーム音を聞いて全員が財務表を手にする。
ピストンが山を崩しながらも全員注目!と音頭を取る。

「うぉ!ヤバイなー。えーと、どこまで出来てるんだっけ?」
「第1ターン以外は平気ですー!」
「でもそこだけダメー!」
「超やべー!」
「分かってんだよんなこたぁ!」
「分かってんなら聞くなー!」
「んだとぅ?!」
「やめーい!」

大混乱。
もう時間がないにもかかわらず、解決策は見つからない。ハリセンしか飛び交わない。
確認済みの資料を踏みつけながら、コピーが残っている僅かな可能性を信じて山の中を探す。
しかし、ない。
残り15分。

「ええい、誰か病院行ってどれか引っ張って来い!」
「もう時間ないっすよー!」
「ああ!早く強硬手段に出てりゃよかったー!」

後悔するも時既に遅し。後10分。
もうペナルティを受けるしかないのかと全員が諦めた。
と、その時。

「ふはははははー!」

資料室の窓をぶち破り、夕陽を背に立つ影一つ。
怪しげなマントに身を包み、胡散臭さ満点のマスクをつけたそれは――――!

『あ、SOUサン』

全員が手を止めて呆然とそれを見る
明らかにSOUであるそれはバっとマントを払うと、ちっちっちと指を振った。あ、なんかムカつく。

「ち・が・う、私の名は怪盗SOU!」
「今はバレンタインデーでもホワイトデーでもないですよ」

西條がうんざりしながら、というより若干かわいそうなものを見る目でツッこむ。
他の全員も同様であるのを見て、仮面の下でこっそり泣くSOU。
でも大人だから我慢。

「ふっふっふ、そんなことを言ってていいのかね?」
「もー、なんなんですか?」

今度はyuzukiが頬杖をつきながらツッこむ。
あ、仮面から雫がこぼれた。
見えないようにこっそり拭きながら、SOUが懐から何かを取り出す。
それを見た全員の目が見開かれる。
メードの耳も立った。

「そ、それは!」

震える指でその何かを指差しながら、tactyが叫ぶ。
ふっふっふ、あーっはっはっはとSOUが高笑いで返す。

「そう、君たちの作っている財務表(完全版)だ!」
「い、いつの間に!」
「ぶっ倒れる前に完成させた、いや!これを完成させたからぶっ倒れたといってもいい!」

ちりーん

季節は春なのに、風鈴の音が聞こえた気がした。
同時に、空気が固まる。
なぜか、SOUの頬に汗が一筋流れた。

「って、あ、あれ?み、皆顔が恐いよ?」

見る見る膨らむ殺気を察知したSOU。
窓が開いてるからか、それとも渦巻く殺気か。床に散らばった資料が部屋に舞う。


ヤバイ、鉄板だ。


意味は分からないが、SOUの頭にはその一文が出てきた。
本能が足を窓に向けたが、一瞬遅かった。
窓の前にはすごいいい笑顔のyuzuki。笑いながら箒を構えている。


あ、俺死ぬ。


疑問文ではない。コーラを飲んだらゲップが出るくらい確実だった。
そう覚悟が決まった次の瞬間、SOUの視界に見えたのは無数の白いハリセンだった。











「ふぅ、どうにかなりましたねー」

ピストンが一仕事終えた顔で銘酒を飲む。
あの後丁度吏族が来て、何事もなくチェックが終わった。
よくやったと言う意味をこめて、近くの飲み屋で祝勝会である。

「まったく、今度ちゃんと資料室整理した方がいいですよねー」
「そうそう」

yuzukiと西條がカナッペを手にシンデレラを飲み交わす。
その隣ではタルクと星青玉が枝豆と一緒にビールを飲み干していた。

「あー!美味い!」
「労働の後の一杯ほどいいものはありませんわね、オホホ……ほ」

あ、星青玉がぶっ倒れた。
飲めないなら飲めないで先に言ってくだーい!と水をぶっ掛ける西條。
あ、星青玉が起きた。
その様子を見てあははと笑いながら、tactyがホッピーを一口。
いい笑顔でいやーと息を吐く。

「これで終わると思うといい気分ですねぇ」
「そうですねぇ」

そういいながらタルクがおねーちゃーん、おかわり!とジョッキを掲げる。
あ、俺も俺も私もと次々上がるグラス。
よぅ皆飲むなぁと思いながら、猪口に酒を注ぐピストン。
皆に新しい酒が届いたのを見て、えーそれではと立ち上がる。

「ま、今日は色々忘れて、気持ちよく飲むぞー!」

おー!

カシャンとグラスが重なる音と笑い声、そして何かが倒れる音がテーブルから響いた。














ビギナーズ王国の王城の屋上から、ひとつの人影がぶら下がっていた。
顔がボッコボコになったSOUである。
SOUは血の糸を吐きながら呟いた。

「SWさん、たくまさん……助けて」

ヤだ。



(SW−Mさん 執筆)


摂政より一言:
フィクションです!俺は倒れていません!でもこんなキャラです。わはははは。

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